隊長
サプールという言葉を知っているかい?
光司
サプールですか?初耳です。
隊長
私もそうだったんだが、感動してしまったよ。
誇り高きコンゴ人の着こなし文化
光司
感動ですか。
隊長
ああ、サプールとはコンゴ共和国というアフリカの貧困国のファッション文化なのだ。
光司
どのような文化なんですか?
隊長
うむ、男達が着飾って、カッコよく練り歩く行為だな。
光司
うーん、それで感動したんですか?
隊長
ああ、彼らは貧しい国だからな、服にお金をかけるなんて中々出来ることじゃないわけだよ。
光司
はい、それなら金持ちの道楽じゃないですか。
隊長
いや、そうじゃないのだよ、中には給料の半分を洋服に費やす人もいるわけだ。
光司
うーん、なんだかバカみたいですけど・・・。
隊長
そこだけ見ればな、ただ自分をカッコよく見せたいだけ、というわけでもないのだよ、周りの住民から憧れられて拍手喝采で歓迎されるのだ。
光司
へー、よくわからない文化ですね。
隊長
娯楽の少ない地域だからな、まるでお祭り騒ぎで芸能人でも現れたかのような盛り上がりをみせるのだ。
光司
そういうものですか。
隊長
うむ、皆がサプールに握手を求め、子供たちが憧れのまなざしを向けるのだよ。
光司
へー、ヒーローみたいですね。
隊長
うむ、そうだな、サプールはヒーローなのかも知れないな。
光司
本当にですか?あまりピンとこないんですけど・・・
武器を捨て、着飾って週末の酒場へ
隊長
コンゴはアフリカの中でもかなりの貧困国で治安もよくないなわけだ、しかし誇り高きサプールは、決してケンカをしないのだよ。
光司
もめ事を起こさない、と。
隊長
うむ、サプールデビューした新人さんが言っていたよ、「もうケンカはしないよ、だって服が汚れるからね」、と。
光司
ははは、動機は何にせよ、いいことですね。
隊長
うむ、その新人さんのデビューに先輩サプールが、着こなしのアドバイスをしてあげていてな、そしてデビューのスーツをプレゼントしてあげたのだよ。
光司
おお、先輩も粋ですね。
隊長
ああ、平均月収が3万円の国で、4万円のスーツをだ。
光司
うわ、それって日本だと20万、30万のスーツじゃないですか。
隊長
そうなのだ、しかし先輩サプールは後進の育成だからと平然としているのだよ。
光司
おお、粋ですね。
隊長
彼らのほとんどは、平日はほかの人々と同じように貧しく暮らしているのだが、週末は着飾って街を闊歩するのだ。
光司
へー、文化なんですね。
隊長
ああ、コンゴなりのダンディズムなんだろうな。
光司
なるほど、国によって基準が違うんですね。
隊長
ああ、コンゴはフランスの植民地だったから、フランスファッションの影響を大きく、カラフルだが要所を抑えて、それはもう個性的な素敵な着こなしをしていて驚いたよ。
光司
へー、フランスの流れなんですね。
隊長
これを見てくれ。
光司
おお、確かにカッコいいですね、場違いな感じはありますが。
隊長
うむ、最高だろ、しかも日本だったら流行に左右されて同じようなファッションに偏ることが多いが、彼らは見事なぐらいにそれぞれ個性的で魅力的なのだよ。
光司
そうですね、でも見事に似合っています。
隊長
そうなのだ、カラフルでも下品にまとまっていないしな、ジャケットも一つボタンから四つボタンまで個性的だったし、ベルトなどの小物も抜かりはなく、一見シンプルなネクタイだなと思わせておいて、ニットタイで立体感をだしていたり、本当に驚きだった。
光司
へー、素晴らしいですね。
隊長
うむ、他にもカマーバンドと呼ばれる紳士服に合わせる腹巻のようなものを取り入れていたり、スリーピースの人もいたな、ネクタイピンやタイバー、チーフも気を使っていたのがわかるし、土の上でも靴はピカピカに手入れしていたし、もうそれは驚きだらけだったよ。
光司
おお、サプール最高ですね、確かに表情からも誇りを感じますね。
隊長
そうなのだ、さらに衝撃だったのが、国のイベントで軍隊が整列して行進していったあと、彼らもパレードで行進したのだ。
光司
へー、国からも文化として認められている存在なんですね。
隊長
ああ、ただ軍隊の用に整列はせず、常にカッコつけて決めているのだよ。
光司
おお、誇りを感じますね。
隊長
うむ、素晴らしい文化だと思うな。
光司
はい、彼らの文化が世界中に広まるといいですね。
隊長
ああ、平和とファッションの充実は比例しているからな。
光司
え?そうなんですか?
隊長
ああ、中国も少し前までは人民服で地味で、洋服に個性なんてなかっただろ?
光司
ああ、なるほど、確かにそうですね。
隊長
日本も争いが落ち着いた平和な江戸時代は、着物がどんどん派手になっていったものだよ。
光司
なるほど、市民の意識にまで影響されるのですね。
隊長
ああ、戦争があると着るものまでに気をまわせないからな。
光司
確かにそうですね、余裕がないと難しいですね。
隊長
衣食住という言葉の通り、大切な要素なのだよ。
光司
ああ、衣食住、そうか。
隊長
しかも食べ物や住みかより先に、衣服だからな。
光司
本当ですね、食住衣のほうが順番的にはしっくりきますけど。
隊長
それぐらい着るものは大切なのだ、悟りをひらいた釈迦は、ただ布を羽織っただけのような服だったが、他の観音菩薩などは、それはもうカッコよく着飾っているじゃないか。
光司
ああ、確かにそうですね、きらびやかな像がありますね。
隊長
そうなのだ、その下の位も毘沙門天などもカッコいい服をまとっているだろ?
光司
確かにそうですね、お釈迦さまだけ質素なのか・・・。
隊長
お釈迦様ぐらい悟ることが出来れば、着飾る必要はないのかも知れないが、人間はそのずっと下だからな、着飾って身だしなみを整えることが大切なのだよ。
光司
へー、コンゴからお釈迦さままで、服でつながるんですね。
隊長
うむ、それだけ着るものは大事なことなのだよ、動物だってオスはメスに求愛するじゃないか。
光司
ああ、なるほど、オスのほうが美しかったりしますもんね。
隊長
うむ、魅力的=生存力がある、優秀な遺伝子、ということでもあるのだろうな。
光司
また話が大きくなりそうですね。
隊長
この話は、また別の機会にしておくか。
光司
すいません・・・。
隊長
ちょっと長くなってしまったが、身だしなみを整えるのは自分のためだけではなく、周りの人への気遣いになる、ということは覚えておいてくれ。
光司
はい、わかりました、サプールもそういうことなんですね。
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