隊長
いやー、まいった。
光司
どうしたんですか?
隊長
ちょっと聞いてくれるかね・・・
カウンセラーが書いた「水曜どうでしょう」の本。
光司
はい、何にまいったのでしょうか?
隊長
うむ、ある本を読んでだな、なるほどな~~と唸ったのだよ。
光司
ある本ですか?
隊長
ああ、「水曜どうでしょう」という番組を知っているか?
光司
はい、もちろんです、DVDを借りたことがありますよ。
隊長
そうか、それなら話が早くて助かるな、その「水曜どうでしょう」について書かれた本なのだがな、
光司
]DVDではなく、本ですか。
隊長
ああ、この本なんだが、
光司
へー、こんな本があるんですね。
隊長
うむ、これを書いたのは佐々木玲仁さんという方でな、九州大学大学院の准教授で臨床心理学の研究者なのだよ。
光司
へー、偉い人が書いているんですね。
隊長
ああ、簡単にいうとカウンセラー、カウンセリングを専門とした研究者だな、そんな方が「水曜どうでしょう」の面白さに興味をもち、番組のディレクター二人との対談を通して、その仕組を分析していく、という内容なのだよ。
光司
へー、色んなパターンの本があるんですね。
計算しつくされた番組構成、でも内容は場当たり的
隊長
「水曜どうでしょう」では他の番組では見られないたくさんの特徴があってな、ディレクターがガンガン喋るだろ?
光司
はい、ですね、藤村さんと嬉野さんでしたか。
隊長
ああ、その独特の構造が視聴者との一体感を生んでいるというのだ、他にも楽しいバラエティ番組はたくさんあるが、それらと一線を画しているのは、視聴者が番組に感情移入しやすいのだよ。
光司
ええと、どういうことでしょう。
隊長
あくまで私の解釈も混じるが、一般のお笑いの番組だと、見る側は観客として楽しむわけだ、、しかし「水曜どうでしょう」は、そうではないのだ。
光司
どういうことでしょうか?
隊長
色々な説明もあったのだがな、私なりの簡単な解釈だと、カメラマンの嬉野さんが視聴者の視点となるのだよ、いっしょに旅をしているとでもいうのかな、視聴者の立場がな、お客さんではなく、その場に居合わせているように感じるのだそうだ。
光司
へー、不思議ですね。
隊長
演者の二人(大泉さん、ミスター)と軽快な掛け合いをしている藤村Dが、テレビに写らないのも絶妙なんだそうだ。
光司
時々見切りますけどねw
隊長
ああ、しかしカメラに向かって正対していないだろ?あくまで演者に向かっていて横顔がチラッと写るぐらいだ。
光司
そうですね。
隊長
そこがポイントらしいのだよ。
光司
・・・うーん、よくわかりませんけど。
隊長
その視聴者側の視点の代表が藤村さんで、その場についていっているあまり喋らないカメラマンの嬉野Dが、視聴者の立場になるのだ。
光司
そうですか、ピンときませんけど。
隊長
まぁ、そうだよな、ディレクター二人もそれを意識して番組をつくっているわけではないそうなのだが、分析の結果、色々な偶然も重なってはいるが、結果どの番組よりも感情移入しやすいのだ。
光司
へー、感情移入しているつもりないですけどね。
隊長
そこだ、それもポイントで普通は主人公や登場人物に感情移入するものだが、あくまでカメラマン、嬉野Dのポジションだから、視聴者が意識することなくて、中々それに気がつかないのだそうだ。
光司
確かに気がつきませんね。
隊長
それを増幅させている嬉野Dのカメラワークのテクニックについても本では触れていてな、あんなにもカメラが固定されている番組は珍しいのだそうだ。
光司
確かに、ホテルの壁や天井だけを映して、愚痴を言い合っているなんて場面がありますね。
隊長
それの意味も色々あって、興味深い内容の本だったぞ!
水曜どうでしょうには凄い効果が!
隊長
そしてな、最後のまとめで唸ったのだが、「水曜どうでしょう」を見ると「カウンセリングの効果がある」というのだ。
光司
へ?カウンセリングですか?
隊長
これも私なりの解釈が混じるが、カウンセリングの専門家の著者の分析だと、カウンセリングの課程と番組の進行具合や内容が、非常に似た構造になっているのだそうだ。
光司
そういうものですか。
隊長
ああ、カウンセリングというお仕事は大変な内容のようで、精神的に参ってしまった人たちから本音を聞き出して、本人が望む方向に導いてあげることなんだが、そもそもな、患者さんは自分ではどうしようもないぐらい大変な思いをして、カウンセリングにきているわけだ、スタートからマイナスな状態なわけだな。
光司
なるほど、そうなんですね。
隊長
だからな、そんな大変な問題をだな、簡単に解決なんか出来ないというのだ、考えて考えてどうしようもなくて、疲労困憊で相談にくるのだからな。
光司
そっか、確かに一回で解決するわけないですよね。
隊長
うむ、それでな、カウンセラーの仕事というのは、患者の悩みを聴いてあげて、解決策を教えてあげるのではなく、患者の苦しさをわかってあげることなんだそうだ。
光司
へー、それだけですか。
隊長
それがどれだけ大変なことか・・・。
光司
まぁ、そうですけど。
隊長
そうやって悩みを聴いてあげるだけで、患者さんは癒やされていくのだよ、それを繰り返していって信頼関係を築くことが大事なのだ。
光司
そうなんですね。
隊長
そうしてその問題の解決に向かうのではなく、その問題以外のことに思考を持っていくのだ。
光司
どういうことでしょう。
隊長
なんでもいいのだが、小さな達成感を得られるようなことだ、絵が好きなら絵を書かせて、他に夢中になれることに気を持っていくわけだ。
光司
・・・気を紛らわせる、ということですか?
隊長
まさしくそれだ、最初の悲しみ苦しんでいる時には、そんな余裕はないのだが、心を開いてくれたら、少しずつ心の中に別の楽しみを注入していく感じかな。
光司
なるほど、気がまぎれますね。
隊長
うむ、何度も言うが、私なりの解釈だぞ!専門家の人が聴いたらぜんぜん違う!というかも知れんが・・・
光司
あ、はい。
隊長
そうやって他に気持ちを持っていくことで、心の冷静を整えていくのだな、その間に時間が経つわけだ。
光司
はい、そうですね。
隊長
そしてな、この本に書いてあったわけじゃないが、悩みの本質は解決出来ないから悩みなのだよ、解決できるもの、答えがあるのなら、そもそも悩みじゃないのだ。
光司
はぁ。
隊長
どうしようないから悩んでいるわけで、悩んでいるということは「正解がない、答えがない」が大半なわけだ。
光司
大半ですか・・・。
隊長
ああ、科学者が新しい公式を発見したとかだと別だが、そんなことは稀だろ、大半の悩みは時間が何となく解決しているのだ。
光司
時間ですか。
隊長
ああ、正確には時間が忘れさせてくれる、時間が薄めてくれる、だがな。
隊長
コージ君は、一年前の今日の悩みを言えるか?
光司
・・・言えません。
隊長
二年前は?
光司
・・・さっぱりわかりません。
隊長
そうなのだ、これといった解決があれば覚えているはずなのだが、解決していないから思い出せない、
光司
・・・。
隊長
単純に薄まったのだよ、日々の生活やその他の問題もあって、
光司
そうなんですか・・・。
隊長
ああ、悩みと本質はそうなのだ、なんとなく薄まる、が大半。
光司
そっか、確かに明確に解決したことなんてほとんどないかも・・・。
隊長
うむ、そしてな、この「水曜どうでしょう」を見ていると、視点がカメラマンの嬉野Dになって、いっしょに旅を回っていくから、見ている間は悩み、苦しみから少しだけ目を背ける効果があるのだそうだ。
光司
なるほど。
隊長
そして番組内でサイコロなどで目的地に付いたりして、小さな成功、達成感を積み重ねていくわけだ。
光司
はい。
隊長
もちろん、道中は文句を言いながら楽しく進んでいくわけだが、ぼやきながらも、ちょっとずつ進んで行く過程もまた、いいのだそうだ。
光司
へー。
隊長
「水曜どうでしょう」は優等生のような結果だけに向かって一直線、ではないだろ?
光司
そうですね、寄り道しますね。
隊長
そういうところもいいのだそうだ、完璧だと息苦しくなる、そうして目的達成したときの達成感の薄さもいいのだよ。
光司
え?薄さですか?
隊長
ああ、あくまであの番組はその課程を楽しむ構造だから、サイコロの旅だと札幌に着くのが目標だが、着かなくても、「残念~」と行って番組は終わるし、着いたら着いたでドラを「ジャ~ン」と鳴らして終わる。
光司
ああ、イメージありますね、藤村さんが「はい、終了~」と言って終わりますね。
隊長
うむ、あれはジャッキー・チェンの昔の映画と同じ手法だな。
光司
へー、そうなんですか?
隊長
ああ、敵のボスを倒したら、その後の展開はなく、「ジャ~ン」とドラで終わる。
光司
そんな因果関係がw
隊長
真似したのかどうかは知らないがな、まぁ、そんな色々な要素がカウンセリングの課程と「水曜どうでしょう」の構成に似ているのだそうだ。
光司
なるほど、深いんですね。
隊長
ああ、だからな「水曜どうでしょう」は癒やされたくて見ている人が多いんだよ。
光司
へー、単純に面白いですけどね。
隊長
まぁ、そうだな、それでいいんだけどな、もれなくカウンセリング効果もある、ということだよ。
光司
そうだったんですね。
隊長
うむ、実はな、私も「水曜どうでしょう」にどっぷりハマっていたことがあってな、今でも放送していれば録画してまで見てしまうぐらい好きなのだが、
隊長
私は離婚しているだろ?
光司
はい、知っています。
隊長
離婚直後、半年ぐらいかな~、ひたすら水曜どうでしょうを見ていた時期があるのだ。
光司
へー、そうだったんですか!!!
隊長
うむ、もちろんカウンセリングの効果など知らなかったのだが、とにかく一人で黙っていると、余計なことばかり考えてしまい辛かったのだな。
光司
はい。
隊長
そんな時に他のバラエティ番組も見たのだが、あまり笑えないのだよ。
光司
ああ、辛いときってバラエティ番組は見られないですよね。
隊長
うむ、だがな、水曜どうでしょうだけはスーッと入ってきたのだよ、笑わなくても見ていられる感じだな、心の中でクスっとするぐらい。
光司
・・・なるほど。
隊長
心地いい時間だったのだ、悩みについて考えなくていいのもあるが、それだけじゃなく、笑えない状態の人でも無理なく見ていられる不思議な番組なのだ。
光司
なるほど。
隊長
ダメな男たちの、文句を言いながら旅道中に癒やされていたものだ、そして今回のこの本を読んで過去の私と一致して驚いたのだよ。
光司
自らが経験していたのですね。
隊長
うむ、今更だが水曜どうでしょうのDVDを揃えたくなってきたぞ。
光司
ははは、全巻揃えたら結構な金額になりそうですけど。
隊長
・・・結構出ているのだな、とりあえずレンタルでいいか。
あくまで個人の解釈なので、参考程度に!
でも辛い時には、おすすめしますよ「水曜どうでしょう」
【関連記事】
※大泉洋が理想の結婚相手の一位に!?